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【小説】ティータイム

※オス猫 → 飼い主の男子 のおかしな小説ネタ、途中放棄のぶつ切れメモ。
猫のベルガモット、リゼと、ご主人様、友達、その飼い犬キャンディが出てくるはずだった。
リゼは近所の飼い猫。もともとは野良の子で気ままで気取った性格のベルの親友。

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「頭を撫でてくれる時の、あの顔! にこっと笑うとこうくにゃっと本当かわいくて、でもなんだかすごいかっこよくて……はあ、もう忘れられないあの笑顔やばいくらい輝いてるの」
 うっとりとした顔で彼女は言う。俺はてきとうに「あーそー」と返した。
「ちょっと! だってあんただってそう思うでしょ、笑ったとき、すごい可愛い顔するでしょ」
「うん、そうだな」
「ちゃんと聞いてる? 聞いてないでしょ」
 まあ聞いてるし、そう思うからそうだなって言ったのに、返事をしてもしなくてもそう言う。
「あたしは、あんたが羨ましいと思ってるのよ。そりゃあんただってきれいなカッコしてると思うし、わたしはどうしても野良として生まれたから。それでもあんたよりもうすこし早く彼と会ってれば、わたしを飼ってくれたかもしれないでしょ。だからうらやましいのよ。わかる?」
「わかる」
「うそよ!」
 なんでこいつって返事求めるのに返事すると怒るの? メスってみんなこうだ……。カマキリの世界なんて夫を食いやがる。


「べっぴんさんだなあ、彼女か? おまえもスミに置けないな」
「ちが……オレは別にこいつと好きでいるわけじゃねえよ、むしろ……その、お前と二人で……いたかったのに」
「うんうん、わかってるって。子猫期待してるぞ」
 ああそうねツンデレったってこういうとき言葉が通じてねえなって感じる。なんか、寂しい……。
「なんて思うかボケ! バカ! オレを見ろ!」
「……。腹減ったのか?」
 うおおおお言われなくても見てるじゃねえか。
 だがなんでもかんでも腹減ったのかってオレどんだけ大食いだと思ってるんだ。
「あーんた、相手にされてないわねえ」
「うるせえええ! おまえだってされてねえじゃねえか! いいんだよ、あいつはちゃんと俺が好きなんだからいいんだよ」
「わたし美人だって言われたわ」
「ちげえええあれはお世辞ってもんなんだよ」
「でもネコなんてみんなかわいいかわいいで終わるのに、ちゃんと美人って言ってくれたわ。それにメスだってわかってくれた」
「あいつはネコ好きなんだよ、みんな美人にみえんの。俺だって言われたことあるよ」
「も、なにムキになってんの。ふふっ」
「ちくしょう!」

 *

 あーあ。オレがわがまましてもコイツはただ見守ってくれるし、オレに嬉しそうな顔してくれる。
 だからオレも呼ばれたら側に寄ってやるくらいするんだ。
 それでいいじゃねえか。家に帰ってきたら、オマエは漫画でもラノベでも読んで、ゲームでもしてアニメでも見て、オレはその膝の上で寝てる。それでいいじゃねえか。
 それの何がいけないんだよ。
 何がいやなんだよ。
「おじゃましますー。おーなんか猫いるー」
「そうこいつベルね、本名ベルガモットさん」
「お、かっこいい」
 うーなんだこいつ。誰か来た。
「何か飲むか? サイダー?」
 うろちょろすんな、立ち上がるな。俺の居場所がなくなるだろうが。
「なーんだよ、ベル。あっちいってろ」
 なんだよ。なんだよはこっちのセリフだ。じゃまみたいに言うな。
「じゃまだぞ」
「じゃ……」
 じゃまって言うなー!

 *

「どうしたのよ、暗い顔して」
「だってさあ、最近友達とばっか遊んでんだ」
「ふーん……」
「ね、コトバが違ってもココロってのは通じるのよ。強く思う、伝えようとするココロ。それがあれば問題なしよ!」
 リゼは毛並みを整えて、くるっとまわって、また座った。
 ほんとうによく知ったように、人には勝てない短い時のなかで、本能的に知識をもっていると俺は思った。
 実は、リゼは人としゃべれるのではないか。あいつに話しかけるリゼは自然なのだ。
 だから俺もできないかと、そんな錯覚を起こしてしまう。

 コトバが違ってもこころってのは通じる。強く思うこころ。伝えようとするこころ。
「す、す、す、」
 それがあれば問題ナシ。
「すき、だ」
「………」
「……なんだよ。気持ちわるいな」
「え」
 これは……伝わったのか?
「メシ食うか?」
「………」
「うん」
 きっと伝わらないのだろうけど、また一段とおいしい飯を出してくれるコイツはきっとオレのことをちゃんと好きなんだろうと思う。もう一番になろうとか思わない。それに気づいただけで十分だから。だから、嬉しそうに鳴いて答えてやるんだ。
「ずっと側にいろよな」
「わかったわかった、いま水を持ってくるから」
 だから違うっての。
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